著者【J.D.ヴァンス】「ヒルビリー・エレジー」( J.D.VANCE 2016 Hillbilly Elegy A memoir of a Family and Culture in Crisis)は、
貧困の白人労働者階級の世界を、
2016年当時は、無名の31歳・弁護士
:オハイオ州出身の「白人」男性のが書いた自伝として
アメリカでミリオンセラーとなりました。
2024年、著者のJ.D.ヴァンス氏がアメリカ副大統領候補となったので、
現在は、再度 世界中で話題になっています。
しかも世間では、⬇こんな風にもささやかれています。
ヴァンス氏が副大統領候補になったということは、
2028年大統領選における共和党の早期の有力候補になったということでもある。BBC NEWS JAPAN
とても興味深いことなので先ずは、
ヴァンス(バンス)氏が書いた本「ヒルビリー・エレジー」を理解しようと試みました。
『バンス著書「ヒルビリー・エレジー」のあらすじをわかりやすく解説。』
と題して、
「『ヒルビリー・エレジー』とはどういう意味?」から
バンス著書「ヒルビリー・エレジー」のあらすじをわかりやすく紹介していきます。
📝J.D.ヴァンス氏の子ども時代の祖父の言葉
— Rosarinn (@rosarinn) July 23, 2024
「じつのところ、日本人はもうおれたちの仲間だ。あの辺の国と戦争するとしたら、敵はあのいまいましい中国だな」
『ヒルビリー・エレジー』より pic.twitter.com/3gfQtrryHs
「ヒルビリー・エレジー」の意味
「Hillbilly」は、スラングで「アメリカ南東部の田舎者の労働者」の蔑称で、
Poor White (負け犬白人・貧乏人)を指し、
「田舎者」を意味します。
「Elegy」は、「哀愁歌」などを指します。
アメリカの繁栄から取り残されたヒルビリーとは、いったいどのような人たちなのか。。。
ヴァンス(バンス)氏が書いた本「ヒルビリー・エレジー」は、
「ラストベルト(さびついた工業地帯)」 と呼ばれる、
かつて鉄鋼業などで栄えた地域の荒廃、貧しい白人 労働者階層の悲惨な日常を
著者自らの体験をリアルに表現した内容です。
貧乏な地域はどこでもそうですが、荒れた家庭が多いです。
お母さんは薬物にはまり、情緒不安で、お父さんはしょっちゅう変わります。
そういう家庭の子供だから、
周りも悪い友達ばかりになるし、警察にもお世話になる。
成績なんていつも最下位。
勉強に対する価値観の違い。
ただ、貧しい白人 労働者階層の「勉強をする。成績を上げる。」という響きは、
勉強は、「女々しいこと」というイメージを持っている。
バンス著書「ヒルビリー・エレジー」のあらすじ
「ヒルビリー・エレジー」は、現在のJ.D.バンス上院議員が
自身の幼少期から青年期までの経験を描いた自伝で、
アパラチア地方の貧困に苦しむ白人労働者階級の生活や文化を深く掘り下げています。
この本はバンスの成長物語と、彼が見たアメリカ社会の陰影を織り交ぜた読みやすいノンフィクションです。
物語の背景とテーマ
アパラチア地方の「ヒルビリー」と呼ばれる人々は、アメリカの中でも特に経済的に厳しい状況に置かれています。彼らの多くは工業都市に移住し、新たな生活を築こうとしましたが、時代と共に製造業が衰退し、失業や貧困が広がりました。この本は、そうした背景の中で成長したバンスの人生を通じて、彼らの文化的な価値観や経済的な困難、そして社会的な問題を描いています。
バンスの家族と育った環境
バンスの祖父母は、ケンタッキー州の貧しい地域からオハイオ州の工業都市に移り住み、家族を支えようと努力しました。祖父母は彼にとって大きな支えとなる存在でしたが、
母親は薬物依存に苦しみ、不安定な生活を送っていました。
バンスは、母親の依存症や家庭内暴力に直面しながらも、祖母の強い愛情と支援を受けて育ちました。
祖母は乱暴な人ですが、愛情が豊かです。近所の子ども達が常に食事をとれているか、世話を必要としていないか、常に気にしているような人です。愛情が深いとも言えますし、他人のことによく目が届く、地頭の良い人なのですね。
祖母との別れ
祖母の元で主人公は、大学に十分行けるようになるまでに成績を上げます。
しかし入学直前になって考えます。学費が高い。
方向転換して海兵隊に入ることにします。海兵隊に数年居れば、奨学金が受けられます。ハードな環境なのはわかりきっていますから普通はしませんが、荒っぽい土地に生まれたからなのか、あんまり心理的抵抗がないようです。
主人公と別れたくなかった祖母は元気がなくなって死にます。
何つーかね、『ヒルビリー・エレジー』に感動した身としては複雑だよね。映画の中のJ・D・ヴァンスって迷いながら惑いながら誠実で最終的に優秀且つ人格者みたいな描かれ方だったし。まあ血の繋がった親族との結束がとても強いことは窺えたから、発言もそれに伴うものなんだ。>RT pic.twitter.com/CBQ6hxqPH1
— ろろ・そぜ (@rorosoze) July 24, 2024
教育とアメリカン・ドリーム
バンスは厳しい環境の中で教育の重要性を感じ、努力を重ねて成功への道を切り開きました。
彼は、アメリカン・ドリームを追い求める中で、多くの障害を乗り越えます。
最終的にはイエール大学法科大学院に進学しました。
イエール大学法科大学で現在のインド系の奥さん(ウシャ)に出会います。
周りの友達とディナーでの簡単なテーブルマナーの常識がわからず、
彼女にこっそり教えてもらいながら、幼少期の最悪な家庭環境も克服していきます。
(2014年にバンス氏はウシャと結婚し、現在は2人の子供がいます。)
その過程で自分のルーツや家族の背景と向き合うことになり、自分がどこから来たのか、そして何を成し遂げたいのかを深く考えるようになります。
社会問題への洞察
バンスは、自身の成功を通じて、アメリカの労働者階級が直面する社会的・経済的な問題について洞察を得ました。
彼は、教育や経済的な機会が不足していることが、個人の運命にどれほどの影響を与えるかを実感し、この本を通じてその現実を共有しています。
そして彼は考えました。
やっぱり家庭だ!家庭環境だ!
「祖母をはじめとする人々の助けがなければ自分はこうはなれなかった。
助けられている環境で人間ははじめて安心感を持つことができ、自分をコントロールすることができる。」
彼は、地域の文化や伝統が人々の生活にどのように影響を与えているかを探求し、それがしばしば自己改善の努力を妨げることがあると指摘しています。
結論
「ヒルビリー・エレジー」は、J.D.バンスが自身の経験を通じて見出した、アメリカの労働者階級の現実を描いた力強い証言です。
この物語は、貧困や薬物依存、家族の絆といったテーマを扱いながら、希望と絶望の狭間で揺れる人々の姿を鮮明に描いています。
この本は、アメリカ社会の複雑な現実を理解するための重要な手がかりを提供してくれるでしょう。
バンスの物語を読んで、誰もが自分のルーツと向き合い、未来に向けてどう生きるべきかを考えるきっかけになるかもしれません。
彼の成功と葛藤は、多くの人にとって共感できるものであり、同時に深い考察を促すものです。
まとめと感想
39歳の若さで副大統領候補に指名されたバンスは、この壮絶な生い立ちから、
「困窮した白人」の代弁者として注目されています。
バンスの経歴は、困難な環境から這い上がった「21世紀のアメリカンドリーム」の体現者として描かれることが多いです。
彼の生い立ちは、アメリカの貧困層や労働者階級の経験を反映しており、
それが政治家としての彼の魅力の一部となって注目されています。
注目されることもすごいことなのですが、
本当に私が驚いたことは、この本を書いたのは無名の時代です。
確かに、家庭環境が最悪の時代から這い上がってイエール大学法科大学院に進学し弁護士に登り着いたとは言え、この本を出版していなかったら、トランプ氏にもここまで注目されなかったのではないでしょうか?
「神のみ力」を感じないではいられませんね!
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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